森永さんファミリー
◆家族構成
森永
孝仁さん
慧美さん
長男:馨仁
長女:彗楠
◆移住元
東京都目黒区
◆移住した年
2021年4月〜
−移住を考えたきっかけを教えてください。
孝仁さん:
キャンプ場を作りたかった、というのが一番のきっかけでした。
元々家族で月1〜2回程度キャンプをしており、色々なキャンプ場を訪れましたが、自分達が理想とするキャンプ場がみつからなかったんです。理想は、ファミリー向けで施設はある程度整っていて、かつ、子どもが自然の中で遊べるような環境です。
当時、キャンプが流行り始め、プライベートキャンプ場を作り始めた人のブログを横目で見ていたのも相まって「ないなら作ればいいんじゃね?」と思い、自分たちでキャンプ場を作ることに決めました。
慧美さん:
私も「いずれは、土イジリができるような環境で暮らしたいなー」なんて思っていました。「キャンプ場を作ろうと思う」と言われ、「せいぜい子どもが独立する前くらい、10年後くらいかなー」と思い、まさか2年後に移住することになるなんて思ってもいませんでした。
孝仁さん:
最初は移住するつもりはなく、土日の2拠点居住で考えていました。
しかし、山を見に行くのに高速を何時間もかけて往復する生活をしていて…。これって移住しなきゃ無理じゃない?と思い、効率的に目的を果たすため、必然的に移住に至りました。
−他にどんな場所が移住先候補地だったか教えてください。
孝仁さん:
群馬、長野、静岡、千葉の内房の君津・富津も候補地でした。
−最終的に勝浦市を移住先として選んだ理由は?
孝仁さん:
土地が見つかったことでした。
キャンプ場の土地は最初3ヘクタール(30,000平米)で探していましたがなかなか難しく、条件を緩めて、最低でも平地だけで3,000平米あればよいと思うようになりました。
最終的に勝浦市に「こういう山を探してたんだよ!」という土地に巡り会えました。結局、土地も10,000平米確保することができました。
慧美さん:
雑木林が理想でした。子どもがどんぐりを探したり、針葉樹も紅葉樹も生えていて、いろいろな葉っぱがあったり、様々な遊び方ができる場所を夢見ていました。
−移住することに対して不安や、実際困ったことはなかったですか?
孝仁さん:
一番の不安は知り合いがいないことですね。僕の場合は正直それに尽きます。
わからないことを誰に聞けばいいのかとか、ちょっとしたことの話し相手がいないとか、知り合いが0になるということは、こっちに来てから発覚したことでした。僕の仕事の繋がりしかなくなるのが一番不安だったポイントでした。
慧美さん:
不安ではあるけれど、キャンプ場作りや子どものコミュニティからどうにかなるだろうなとは思っていました。
勝浦で働かなかったら私自身はしんどかったかもしれません。キャンプ場を土着でやろうとしていることで、「キャンプ場の森永さん!」と、認識していただくことがあるので。
孝仁さん:
奥さんはそれにプラスして車が運転できないという。
慧美さん:
それは不安というより、知らなかったです。こっちに来てから、車がないとこんなに何もできないんだ!ということを知りました。笑
あと、困ったのは、子どもを預けたい時に預けられなかったことです。東京にいた時は実家が近かったということもありますが、病気など緊急の際や、ちょっとの時間だけでも子どもを預けたいという時に、ベビーシッターや一時預かりが近くにありませんでした。東京だと、とりあえずどうにかなっていたので、どうにかなるだろうと思っていたら、どうにもならなかったのが誤算でした。
孝仁さん:
こっちの人たちは多分近くにご家族がいるから、大多数が必要で困っているという状況はないんじゃないかなと思います。
−預け先がなかった時はどうされたんですか?
孝仁さん:
幸い、仕事がリモートワークとキャンプ場作りなので、仕事しながら子どもの面倒を見ていました。でも、これってうちだからできることですよね…。笑
慧美さん:
それでいうと病気の時に一番困ってしまいました。息子が急性胃腸炎になって、私もうつってしまって。今回は主人が仕事をしながら、1人で息子と娘の面倒を見てくれてどうにかなりました。
孝仁さん:
勝浦に来て一番困ったのは、子どもが病気のときに、急に預けるところがないというのと、小児科まで遠いことですね。
ー 移住前と移住後のお仕事について教えてもらえますか?
孝仁さん:
移住前はウェブサイトやアプリなどソフトを作る仕事をしていました。
キャンプ場を作ると決めてから会社を辞め、フリーランスでエンジニアを始めました。
現在はエンジニアの仕事と、キャンプ場のオープンに向けて準備をしています。
ー 買い物はどうしていますか?
孝仁さん:
大型スーパー、何でもそろって、神!家からコンビニが近くて最高!Ama○onは中1日くらい空くかと思ってましたが次の日に届くので、本当に何も困っていませんね。そもそも、ネットショッピングが多くて、いわゆる店舗ショッピングをする生活をしていなかったので、買い物にはまったく困っていません。
ー 生活コストは変化しましたか?
慧美さん:
トータルでは、食費がめちゃくちゃ下がりました!外食が少なくなり、自炊することが多くなりました。買い物する場所が決まっているので、東京にいた時のようにチラシを見て安売りのスーパーを梯子することはなくなりました。その結果、今までは買っていなかったような値段で野菜を買わざるを得ないことも増え、自炊におけるコストは上がったかもしれません。
孝仁さん:
僕が飲みに行くことや、帰り道にフラッと買い物することがなくなったので、外食費は0円になりました。外食や買い食いは減らしたいと考えている人が多いと思いますので、そういう面ではいい環境だと思います。
ー 近所付き合いやコミュニティについてはどうですか?
孝仁さん:
勝浦で良かったっていうタイミングがめちゃくちゃ多いです。地元の方々のコミュニティも、閉鎖的な感じがほとんどないんです。
慧美さん:
多分観光地なので、外から人が来るのが当たり前だから、排他的じゃないのかなと思います。
孝仁さん:
普通に話しかけたら、みなさん丁寧に誠実にお話ししてくださる方が多いと思います。
最初はもちろん一定の警戒感はある人はいますよ。山を買って、土地の境界の確認のため裏の集落に説明をする際、その集落を守ってるポジションの方は「本当に大丈夫か?」という感じでしたけど、その警戒は正しいと思います。
その説明会で信用してもらえたのか、それ以降は電話がかかってきて、「木、切るの困ってたら知り合い紹介しようか?」みたいな感じで、一気に協力的になってくれました。笑
他には「そんな若いのに山買ってえらいわねぇ」と言われたり、みなさん受け入れてくれる風土はすごく強く感じましたね。
地元の人たちはいい人たちばかりの土地だなぁ、と思います。
市内の方は観光客が多いからだと思いますが、東京的というか、都市としての人の距離感にはなっていると思います。
あとは、土曜日保育に子どもを預けていたので、保育園の先生たちは大体僕らのことを認識してくれており、先生とのコミュニケーションが取れていました。
慧美さん:
子どもの病院どうしようと思った時、娘を産んだ時に来てくれた訪問保健士さんに、お医者さんの情報を教えてほしいとお願いすると、すごく丁寧に色々教えてくださいました。市役所の職員の方や関係者さんはとても親切に教えてくれるので助かっています。
孝仁さん:
子どもが少ないからだと思うんですが、福祉課と保育園でちゃんと情報が共有されていました。子ども館に子どもを連れて行くと、「この前まで具合が悪かったって聞きましたけど、今大丈夫ですか?」って、回り回って知っていてくれたり。保育園関係で福祉課の方とやりとりをした際、名乗らずとも手続きが進んでいくこともあったり。笑
人によっては情報が筒抜けで怖いって思うかもしれないですが、僕らにとってはドライに対応されるより、ちゃんといろんな大人たちが子どもを気にかけてくれていて、安心感があります。話も全部こっちから伝えなくてもある程度認識してもらえているので、何度も1から説明する必要もないですし。
ー 移住後の子育て環境や、家族で過ごす時間に変化はありましたか?
慧美さん:
「一つの場所に飽きるほど行こう」となりました。
水族館とかレジャー施設とか、いろんな子どもの遊び場的なところに結構行ってきた方だと思うんです。例えば東京は水族館がいっぱいあって、今度はここに行こう、次はあそこに行こう、といろんなところにいっぱい行く遊び方をしていました。
移住してきて、一つの場所に飽きるほど行こうという考え方に変わりました。
そもそもの選択肢が少ないのですが、「釣りに行く」か、「山に行く」か、「鴨◯ーに行く」か。笑
いろんな情報がある中で楽しいこと選ぶっていうよりかは、子どもがその中で好きで気に入ったものを何回もやる、という風に変わりました。子どもの年齢もあるのかもしれないけれど、それは移住前との変化かなと思います。
孝仁さん:
選択肢は多くない方がいいんですよ、うちは。選択肢が多くあると選ぶのに疲れちゃうので。
慧美さん:
子育て世代でも考え方が別れると思いますが、「子どもにはいろんな経験をさせたーい!」っていうのは実は色々経験させているようで何も経験させてないかもしれない、と思ったんです。いろんなことができるからこそ逆に器用貧乏かもしれない。それと比べると、まずちゃんと”何をしよう、何ならしたい、何なら楽しめる、この子は何が好きだろうか?”と向き合って考えますよね。その中で次第に、遊びを子ども自身で考えられるようになるといいんだろうなと思います。与えられるものをただ楽しむんじゃなくて、自分で考えつつ自由にひたすら遊ぶ。そういう経験を子どもにさせたいと思っている親御さんは意外といるんじゃないかな、と思います。
ー 移住後の人生満足度は?100点中何点
孝仁さん:
75点!キャンプ場づくりに不可欠な、ホームセンターや建設重機のレンタルが勝浦にはなく、隣町まで車で30分くらいかけて行かなければならないからです。
慧美さん:
70点!今のところは、及第点といったところでしょうか。
キャンプ場が完成して、軌道に乗れば、80点!!
余暇に、サーフィンやマリンスポーツ、家庭菜園や町興しに挑戦できれば、90点!!!
子どもたちが、勝浦を故郷と思ってくれるようになったら、移住大成功で、100点を超えるんじゃないでしょうか…!!!!
ー 勝浦市へ移住を検討している人へメッセージやアドバイスをお願いします。
孝仁さん:
勝浦は、病院が遠かったり、車が必要だったりするので、若いうちの方が楽しめると思います。 海や山など、遊ぶ場所はたくさんあるので、子育て世代には、比較的過ごしやすい場所なんじゃないでしょうか。
慧美さん:
勝浦は観光地としての知名度やメディアの露出が多くて有名で、勝浦って地名は知っているっていう人が多いと思うんです。ですが、実際に移住すると、勝浦に幻想を抱いていたとわかるかもしれないです。笑
ちゃんと田舎だと思って来る人、スローライフをしたくて来る人は大丈夫だと思うんですが、私はここまで田舎だと思ってなかったタイプなのでちょっとびっくりしました。
例えば、小児科やホームセンターは、隣町まで車で30分。ハンバーガーチェーン店はもちろん、大手メガネチェーン店もスイミングスクールも勝浦にはありません。ファミレスはガス◯だけだし、宅配ピザもウー○ーイーツもありません。
東京の便利な生活と比べると、不便な点はキリがないですが(笑)、それを上回る価値があると思います。
海に、山に、人…。
例えば、裏のおじいちゃんが、息子の面倒を見てくれたり、畑でとれた筍をおすそ分けしてくれたり。お隣さんが、土木工事を手伝ってくれたり、アイスをご馳走してくれたり。
また、美味しい鮮魚は、ほとんどが東京に行ってしまうので、地魚を食べるには、漁師さんとお友達になるのがいいそうです^^;
人付き合いが苦にならないタイプなら、田舎暮らしを楽しめるんじゃないかなぁと思います。
ー ありがとうございました!
インタビュー日:2022/3/25